要約
- 日本の離婚率は、2002年をピークに減少傾向が続いている。
- 日本で一番離婚率が高い都道府県は、沖縄県。
- 日本の離婚は、約9割が協議離婚(話し合いで解決する離婚)。
- 日本で離婚訴訟を起こして裁判をする割合は、約1%。
- 日本人夫婦より国際夫婦の離婚確率が高い。
- 国際夫婦は、夫が日本人の夫婦が、夫が外国人の夫婦より、離婚確率が2倍高い。
- 昔と比べて近年は、熟年離婚の割合が増えている。
- 近年において、離婚する夫婦の7割以上は、結婚して1年以内に別居している。
はじめに
この記事では、日本の離婚に関する、様々な事実や傾向を記載します。
データは、国が公開している人口動態統計特殊報告という資料の、離婚に関する統計を利用しています。資料は2022年に公開されたので、最新の情報です。
人口動態統計特殊報告の離婚に関する統計を読むと、情報が多く読み解くのに時間がかかります。あなたが知りたい情報を、短時間で楽に理解できるように、私が整理してみました。
各セクションは独立しているので、目次から知りたいセクションに飛んで読めます。
離婚件数と離婚率
1947~2021年までの離婚件数の推移を見てみましょう。2021年の離婚件数は、184,384件です。
図1
図1を見ると、日本の離婚件数は2002年をピークに減少傾向が続いています。
図1で日本の離婚件数は確認できましたが、これだけだと年次毎の比較が出来ません。なぜなら、それぞれの年次で分母が異なるからです。
例えば下記の条件の場合、離婚件数が多いのは2022年の2組ですが、離婚の割合が多いのはどちらでしょうか?
- 2021年に10人中1組が離婚
- 2022年に100人中2組が離婚
どのくらいの割合で離婚しているのかを年次別に比較するためには、その年の人口を考慮する必要があります。
離婚の割合を表す指標として、離婚率があります。離婚率の定義は、下記です。
離婚率 = 年間離婚件数 / 日本人人口(その年の10月1日) × 1000
噛み砕くと、1000人の人がいる中で、何組が離婚したかを表しています。例えば、2022年の離婚率が5の場合、2022年時点では、1000人中5組が離婚したということです。
離婚率の定義が理解できたので、離婚率の推移を見てみましょう。
図2
2021年の離婚率は、1.5です。
離婚件数と同様、日本の離婚率も2002年をピークに減少傾向が続いています。
ポジティブな情報より、ネガティブな情報が人に与える印象が大きいので、ニュースなどのメディアでは、浮気、不倫、離婚などテーマを扱いがちです。
その影響で、日本の離婚率は上がっているんじゃないかと思っている人も多いのではないでしょうか。
都道府県別の離婚率
全国における離婚件数や離婚率は理解したので、都道府県別の離婚率を見てみましょう。
2020年における都道府県別の離婚率を降順に並べた表を、表1に示します。あなたがお住まいの都道府県の離婚率を確認してみましょう。
都道府県 | 離婚率/人口千人当たり |
---|---|
沖 縄 | 2.36 |
宮 崎 | 1.79 |
福 岡 | 1.77 |
北 海 道 | 1.75 |
大 阪 | 1.73 |
大 分 | 1.7 |
和 歌 山 | 1.67 |
高 知 | 1.67 |
福 島 | 1.63 |
山 梨 | 1.63 |
熊 本 | 1.62 |
栃 木 | 1.61 |
愛 知 | 1.61 |
三 重 | 1.61 |
岡 山 | 1.61 |
香 川 | 1.6 |
鹿 児 島 | 1.6 |
茨 城 | 1.57 |
宮 城 | 1.56 |
兵 庫 | 1.56 |
青 森 | 1.55 |
静 岡 | 1.55 |
東 京 | 1.54 |
広 島 | 1.54 |
佐 賀 | 1.53 |
群 馬 | 1.52 |
長 崎 | 1.52 |
徳 島 | 1.51 |
愛 媛 | 1.51 |
千 葉 | 1.5 |
神 奈 川 | 1.5 |
山 口 | 1.5 |
埼 玉 | 1.49 |
滋 賀 | 1.48 |
京 都 | 1.48 |
鳥 取 | 1.48 |
岐 阜 | 1.47 |
長 野 | 1.45 |
岩 手 | 1.4 |
福 井 | 1.4 |
奈 良 | 1.4 |
石 川 | 1.32 |
島 根 | 1.32 |
山 形 | 1.28 |
秋 田 | 1.27 |
富 山 | 1.22 |
新 潟 | 1.21 |
表だと比較しにくいので、グラフで可視化するために図3を示します。
図3
図3を見ると、沖縄県の2.36が突出していることが分かります。
沖縄県は地理的な特性から、浮気がバレやすいのかもしれませんね。
離婚の種類
離婚には種類があります。
民法から確認しましょう。民法の第四編、第二章、第四節に、離婚という項目があります。第四節は、第一款と第二款に分かれます。
- 第一款 協議上の離婚
- 第二款 裁判上の離婚
早速答えが見つかりましたね。離婚は、協議上の離婚と裁判上の離婚に分けられます。
あなたが想像する通り、話し合いで合意できたら協議上の離婚、それ以外は裁判上の離婚という認識で大丈夫です。
図4で、1950~2020年における協議離婚と裁判離婚の割合を見てみましょう。
図4
日本の離婚は、約9割が協議離婚ということが分かりました。
1950年の裁判離婚の割合は4%です。そして、2020年の裁判離婚の割合は12%です。
2002年頃から、裁判離婚の割合は増加傾向にあることがわかります。
裁判離婚の種類
離婚は大きく分けて、協議離婚と裁判離婚に分けられます。裁判離婚も、どのタイミングで離婚が成立するかによって、下記の5つに分けられます。
- 調停離婚
- 審判離婚
- 和解離婚
- 認諾離婚
- 判決離婚
難しい単語が5つも出てきましたね。必要最低限の知識を効率良く理解するために、離婚のフローチャートを図5に描いてみました。
図5
簡潔に説明します。
- 離婚する意思がある場合、まず夫婦で話し合います
- この段階で双方が合意できた場合、協議離婚になります
- 合意出来なかった場合、家庭裁判所に離婚調停を申立てます
- この段階で双方が合意できた場合、調停離婚になります
- 合意出来なかった場合、家庭裁判所が調停に代わる審判によって離婚を命じます
- 審判に納得した場合、審判離婚になります
- 審判に納得できずに、異議申し立てをする場合、ようやく離婚訴訟に移ります
- 裁判官が判決を下す前に、双方が合意できた場合、和解離婚になります
- 合意は出来なかったが、争いを避ける目的などで、被告(裁判所に訴えを提起された側の当事者)が原告(提起した側の当事者)の請求を認諾した場合、認諾離婚になります
- 最後に判決が下されて、判決離婚になります
一見複雑に見えますが、結局のところ、最後の判決離婚に至るまで、何度も互いの合意による離婚を試みているだけです。
裁判離婚の種類が理解できたところで、図6で、1950~2020年における裁判離婚の種類の割合を見てみましょう。
図6
2003年までは、調停離婚が約9割を占めています。
裁判離婚と言えど、約9割の夫婦は裁判(離婚訴訟)は起こさずに離婚しているということです。
和解離婚、認諾離婚という制度は、2004年から始まりました。よって、2004年からは、和解離婚の割合が増えて、調停離婚の割合は約8割となりました。
承諾離婚の割合は0に近いので、承諾離婚件数は極少数です。
探偵の浮気、不倫調査の証拠は、この裁判離婚で使える資料ということですね。
夫婦の一方が外国人の離婚
日本における国際夫婦の離婚について見てみましょう。日本における国際夫婦とは、夫か妻のどちらかが外国人である夫婦を指します。
まずは、日本に国際夫婦がどのくらいいるのかを確認しましょう。図7は、1965~2015年において、全婚姻件数の内、国際夫婦の婚姻件数の割合を示しています。
図7
1965年は0.4%で、2006年に6.1%でピークを迎えました。
2006年からは減少傾向が続いており、2015年は3.3%です。
ちなみに、国際夫婦の外国人の国籍は、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国、中国、フィリピン、タイ、アメリカ、イギリス、ブラジル、ペルーなどが多いようです。
日本における国際結婚の割合を理解できたので、国際夫婦の離婚割合について見てみましょう。図8は、1992~2020年において、全離婚件数の内、国際夫婦の離婚の割合を示しています。
図8
1992年は4.3%で、以降は増加傾向が続いて、2011年に7.6%でピークを迎えます。2011年からは減少傾向が続いており、2020年は4.6%です。
図7, 8を比べると、二つとも山型になっています。
図7の国際結婚の割合がピークを迎えた2006年の山が、4年ずれて、図8のように、2011年でピークを迎えたと考えると、理解しやすいかもしれません。
また、単純比較はできませんが、国際夫婦の離婚の割合は、国際夫婦の婚姻の割合より、全体的に約2%高くなっているので、日本人同士の夫婦と比べて、国際夫婦の離婚確率は多少高いと言えるかもしれせん。
興味深いのは、国際夫婦の男性と女性、どちらが外国人かによって、離婚率に差があるということです。
夫が日本人、妻が外国人の夫婦が、夫が外国人、妻が日本人の夫婦より、離婚確率が高い傾向が続いています。
これは、日本の文化、風習、収入などの特徴と、国際夫婦の外国人の出身国の文化、風習、収入などの特徴による、様々な要素が混ざり合って、この結果が出ているのでしょう。
もしあなたが国際夫婦、もしくは国際結婚を考えているなら、頭の片隅に留めておきたい傾向ですね。
同居期間によって変わる離婚率
夫婦の同居期間によって、どのくらい離婚率が変わるのか見てみましょう。図9は、1950~2020年において、同居期間別の離婚件数の割合を示しています。
図9
1950~2020年の間、全体的な傾向として、同居期間が長ければ長いほど、離婚しにくい傾向を示しています。これは統計を見なくても想像できますね。
では、昔と比べて近年はどのように傾向が変化しているのか確認してみましょう。
1951年は、同居期間が5年未満の割合が、64.5%です。
2020年は、同居期間が5年未満の割合が、30.6%です。
半分以下になってますね。そして、同居期間の長い夫婦の離婚件数の割合は、増加傾向が続いています。
つまり、昔と比べて近年は、熟年離婚の割合が増えてきているということを表しています。
2020年は、同居期間が10年以上の離婚件数の割合が約5割あるので、あなたが結婚して10年以上たっていたとしても、安心はできませんね。
同年別居離婚件数の割合
少し漢字が多めの単語が出てきましたね。同年別居離婚とは、婚姻届を提出した年に別居して、離婚届を提出して離婚することを指します。
噛み砕くと、「1年以内にすぐ別居して離婚しちゃった夫婦」となります。図10は、1950~2020年において、全離婚件数における同年別居離婚件数の割合を示しています。
図10
1960年から増加傾向が続き、2001年に74.9%でピークを迎えました。以降は緩い減少傾向にありますが、2020年においても、71.9%を維持しています。
つまり、近年における離婚の7割以上は、結婚して1年以内に別居しているということになります。これまで様々な離婚に関する傾向を見てきましたが、私はこの事実に一番驚きました。
この事実から言えることは、婚姻届を出して1年以内に別居した夫婦は、離婚へのカウントダウンが始まっているということです。やはり、最初が肝心ということですね。
おわりに
この記事を最後まで読んでくださったあなたへ。
ありがとうございました。
ここまで、日本における離婚に関する、色々な事実や傾向を確認できましたね。このセクションでは、少しだけ、私の経験に基づく意見を書かせてください。
私が伝えたいことは一つだけです。
離婚は、悪い選択肢じゃないということです。
過去に、探偵に浮気、不倫調査を依頼し証拠を手にして、慰謝料を請求して、離婚した夫婦を何組も見てきました。
離婚後の話も聞くのですが、離婚前よりも人生が好転している人を何人も見ています。誰にも相談できずに一人で抱え込んでしまうと、幸せな生活からはどんどん遠ざかってしまいます。
パートナーが浮気、不倫してるかもしれないとお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。